某MARCHの理系学生が、東京科学大(旧東工大)の院試にB日程で受かった話工学院 機械系/2027年4月入学 ・ 院試先生
某MARCHの機械系4年です。
今年、東京科学大(旧東工大)の院試にB日程で第一希望の研究室に受かりました。
先に言っておくと、僕は頭がいいタイプじゃないです。大学受験は失敗しているし、3年の後期まで院試のことなんて何も知りませんでした。
そんな人間でも、1年ちゃんとやれば届きます。逆に言うと、ちゃんとやらないと普通に落ちます。そういう試験です。
この記事には、受験前の自分が知りたかったことを全部書きました。TOEICは何点いるのか。何から勉強すればいいのか。本番の3時間で何が起きたのか。
長いので、目次から気になるところだけ読んでもらえれば大丈夫です。AIに要約させてもいいです。
1. なんで外部の院を受けたのか
大学に入ったとき、正直、自分の大学があまり好きじゃありませんでした。大学受験がうまくいかなくて入った大学だったので。
友達ができて毎日が楽しくなったら、そんな気持ちはすぐにどこかへ行きました。……と思っていたんですが、たぶん心のどこかには、悔しさやコンプレックスがずっと残っていたんだと思います。
それが顔を出したのが、3年の後期の研究室選びです。研究室の一覧を何回見ても、やりたいと思える所がない。修士の2年間って、人生の中でもかなり大きい時間じゃないですか。それを興味のない分野で、しかもそこまでレベルが高くない環境で過ごして、自分は成長できるのか。考え始めました。
そんなとき、たまたま「他大の大学院に行けばいい」という記事を見つけました。
すぐに他大の院に進んだ先輩のところへ話を聞きに行きました。そこで外部受験の話を聞いて、「あ、これが受験界の最後のチャンスだ」と思ったんです。それで東京科学大を受けると決めました。
受かった今思うのは、外部の院は「選び直し」ができる場所だということです。学歴のせいで就職先を選べない、みたいなことはなくなるし、何より本当に行きたい研究室を自分で探せます。僕もそうやって、第一希望の研究室に出会えました。
2. 科学大の院試ってどんな試験?
まずは試験の全体像から。ここを知らずに勉強を始めると、努力の方向がズレます。
科学大にはA日程(推薦)とB日程があります。で、他大生はA日程にはまず通りません。GPA3.8、TOEIC850の先輩ですら、書類で落ちていました。なので他大生は、基本B日程で勝負することになります。
B日程の中身はシンプルで、
- TOEIC:100点(スコアを事前に提出。当日の英語の試験はなし)
- 筆記試験:400点(四大力学=機械力学・材料力学・熱力学・流体力学を3時間)
- 口頭試験:筆記に通った人だけ。1人10分くらい
これだけです。合計500点のうち、2割がTOEICで決まるということは覚えておいてください。
「筆記に通れば口頭はほぼ通る」とよく言われていて、それ自体は本当です。ただ、落とし穴があります。研究室は点数順に埋まっていくので、点数がギリギリだと、希望した研究室が全部定員オーバーになって、口頭で落とされるんです。
これ、実際に僕の仲のいい友達に起きました。筆記は通ったのに、第1から第10希望まで出した研究室が全部埋まっていて、口頭で不合格。
つまり、楽して受かる方法はありません。コネも効きません。きちんと勉強して、実力で殴り込みに行くしかないです。
ちなみに東大も併願するなら、英語はTOEFLになるし、科目も伝熱・制御・メカトロ・設計が増えて、数学の範囲も広くなります。科学大だけの人とは別ゲーだと思っておいた方がいいです。
3. 勉強を始める前に知っておいてほしいこと
研究室訪問は「受かるため」じゃなく「後悔しないため」に行く
「教授と仲良くなれば受かる」って噂、聞いたことありませんか? あれはウソです。科学大は点数順。訪問していなくても、点さえ取れば第一希望に入れます。
じゃあ行かなくていいのかというと、逆です。なるべく早く行ってください。コアタイムはあるのか、テーマはどう決まるのか、研究室の空気はどうなのか。こういうのはホームページを見ても絶対に分かりません。それに「来年ここにいる自分」が想像できると、勉強のモチベがまったく違ってきます。
4年の研究室選びで、院試の難しさが変わる
これは声を大にして言いたいです。
研究が忙しすぎて勉強時間が取れない。教授が外部受験をよく思っていなくて、勉強していると注意される。週5のコアタイムがある。こういう研究室に入ってしまって、院試を諦めた人を何人も見てきました。本当はもっと上の研究室に行きたかったのに、です。
大げさじゃなく人生が変わるので、4年の研究室は慎重に選んでください。
過去問は早めに手に入れておく
この試験は過去問が命です(あとで詳しく書きます)。問題そのものは大学の公式サイトで手に入りますが、解答は公開されていません。先輩から回してもらえる人はいいんですが、外部生だとそういうツテがないことも多いと思います。
自分の大学の院を滑り止めにする人へ
自分の大学の院試は、だいたい7月に終わります。滑り止めとしては安心なんですが、研究室によっては合格後の面談で「このテーマやらせてあげるから、うちに来なよ」と引き止められることもあるそうです。断る自信がない人は、どこを受けるか一度考えておいた方がいいです。
4. 何を、どの順番で勉強したか
先に結論を書いておきます。順番はこれです。
英語(TOEIC)→ 数学・力学の基礎 → 四大力学 → 過去問
TOEIC:四力より先に、これを片付ける
配点はTOEICが100点、筆記が400点。TOEICは試験前に点数が確定する、唯一の「先に稼げる点」です。
目安は750点。800あれば上位だと思います。僕は765点でした。今思えば、もう少しやってもよかったです。
なんでそこまでTOEICを推すのか。科学大の筆記は基礎的な問題が多くて、みんなの点数が団子になりやすいからです。そうなると、事前に確定している英語の点がそのまま差になります。去年受かった研究室の先輩によると、先輩の周りで落ちたのは、TOEICが700点に届いていなかった人だけだったそうです。
スコアは3年の2月までに取り切ってください。4月になってもまだTOEICをやっていると、四力に時間を割けなくて詰みます。その時間は四力に使うべきです。
使ったのはこの3つです。
数学:「範囲外」だと思っていると痛い目を見る
科学大の出題範囲は四力だけです。だから「数学はやらなくていいや」と思うかもしれません。
でも勉強を始めると、すぐに分かります。機械力学も流体も材力も、微分方程式と行列が分からないと、解説すら読めません。なので最初にこの2つをやってください。遠回りに見えて、これが一番の近道です。
範囲はこれだけで十分です。
- 微分方程式:変数分離型、1階線形非斉次(定数係数)、2階線形非斉次(定数係数。非斉次項に指数関数と三角関数の積が入るものまで)
- 線形代数:逆行列、固有値・固有ベクトルとその意味、対角化とその意味
苦手な人は、自分の大学の院試の数学を解いてみるのもアリです。基礎的なのにパターンが多いので、微分方程式の練習にちょうどいいです。
力学の基礎:重心と慣性モーメントは自分で出せるように
僕は大学の授業で使っていた工業力学の教科書で、重心、慣性モーメント、回転の運動方程式を復習しました。
重心と慣性モーメントは、式を覚えるんじゃなくて、自分で導出できるようにしておくのがおすすめです。たまに試験にも出るし、ここで座標系(直交・円筒・球)に慣れておくと、材力の断面二次モーメントも流体の計算もぐっと楽になります。
四大力学:相棒は「四力精選」
四力で一番大事な1冊は、間違いなく四力精選です。院試を受けると決めたら、その日に買いに行ってください。本番より難しいけど、そのぶんめちゃくちゃ力がつきます。
科目ごとの感想はこんな感じです。
【熱力学】一番簡単。ほぼ暗記
範囲は熱と仕事、第一法則、理想気体、第二法則、有効エネルギー、蒸気、サイクル、冷凍。サイクルのまとめを自分で作って、熱効率を出すまでの流れを頭に叩き込めばOK。本番も35分で終わりました。
【材料力学】パターンは多いけど、手順は毎回同じ
伸び・ねじり、熱応力、分布荷重、一般化フック則、モールの円、はりのたわみ、カスティリアノ、座屈。分野もパターンも多いですが、手順は毎回同じなので、量をこなせば必ず解けるようになります。
怖いのは、考えることが多いこと。1つ1つ漏れがないように処理する癖をつけてください。一般化フック則、モールの円、はりのたわみあたりは、特につまずきやすいです。
【機械力学】最初の1行で決まる
微分方程式が分かっていれば割と簡単です。聞かれていることは、突き詰めると「運動方程式を立てて、振動を解く」の1つだけ。ここが分かったら、すぐ精選に入ってください。分からなければ、AIに機械力学の基本の教科書を作らせて、1時間で理解してしまいましょう。
注意点は1つだけ。最初の立式でミスると、その後が全部パーになります。問題の最初だけは、本当に丁寧に。
【流体力学】範囲は広いけど、型は決まっている
初学者向けの薄い教科書を3、4日で読み切って、すぐに精選に移りました。
範囲は流量、せん断応力、圧力の基本定理、等圧面、連続の式、ベルヌーイとその成立条件、損失係数、運動量保存則、ハーゲン・ポアズイユ、ナビエ・ストークスの既知解、レイノルズ数、抗力・揚力、流体機械、渦度、流れ関数、速度ポテンシャル、複素ポテンシャル、境界層。多く見えますが、解き方の型はだいたい決まっているので、慣れたら得点源になります。
過去問:ここに一番時間を使った
はっきり言います。過去問をやり込んだ人が勝つ試験です。本番の問題は、過去問をベースに作られていると思ってください。
僕のやり方はこうです。
- 3月に、まず1年分だけ解いてみる。何が出るのかを先に知っておくと、教科書の読み方が変わります。
- 6月から本格的に過去問に入って、20年分を2周。2周目でも間違えた問題だけを、3周目に回しました。
- 間違えたら、なんで間違えたのかをミス集に書いて、毎日見返す。理論があやふやなら、教科書か精選に戻る。これの繰り返しです。
あと、難しすぎる問題や時間がかかりすぎる問題は飛ばしてOKです。合格点を取る試験であって、満点を取る試験じゃないので。
ミスノートとAI:一度分かったことを二度と忘れない
ミスノートと、科目別のまとめノートは絶対に作ってください。間違えた問題、ケアレスミス、その日に分かったこと。全部その場でメモして、毎晩見返します。一度理解したことを忘れて、もう一回理解し直している時間なんてありません。
それからAI。これは使い倒してください。課金しないのは論外です。
分からないことは、分かるまで聞く。なんでそうするの? なんでそれが成り立つの? 自分はどの知識が抜けてたの? 別解はある? ここまで詰めると、1問から得られるものが全然違ってきます。
地味だけど効くこと
問題は印刷して、紙で解いてください。iPadに映して解くより明らかに速いし、本番は紙です。
それと、本番は9時半スタートで、朝早くに会場へ行く必要があります。夜型の人は、早めに朝型に寄せておきましょう。
5. 1年間のスケジュール
| 時期 | やったこと |
|---|---|
| 3年の夏〜1月 | TOEIC。750点を目指す。研究室訪問もこの頃から。 |
| 3年の2月 | 数学と力学の基礎。TOEICのスコアはここまでに確定させる。 |
| 3月 | 四力スタート。まず過去問を1年分解いて傾向をつかむ。そのあと教科書の必要なところを読んで、問題演習。1教科1週間弱で読み切るペース。 |
| 4月 | 精選をひたすら解く。大事な問題は何周も。 |
| 6月 | 過去問開始。20年分を2周+間違えた問題を3周目。 |
| 7〜8月 | 過去問を回しながら、ミスノートを毎晩見返す。 |
ただし、これは「4年の研究室が当たりで、4月から勉強に集中できた」前提のスケジュールです。研究室が忙しくて院試を諦めた人を、僕は何人も見ています。できるなら早めに始めるか、勉強時間を取れる研究室に入ってください。自分の興味にも合う、ホワイトな研究室を見つけること。ここ、本当に大事です。
6. 本番の3時間で起きたこと
前の夜は、意外とよく眠れました。ベッドで1時間くらいいろんなことを考えてしまって寝付けなかったんですが、一度トイレに行って戻ってきたら、いつの間にか寝ていました。朝はびっくりするくらい目覚めがよかったです。
電車の中では緊張で吐きそうになる瞬間もありました。でも、待ち合わせていた友達の顔を見たら一気に安心。教室に入って最後の確認をして、トイレを済ませて、開始を待ちます。
開始の合図。深呼吸して、まず全部の問題を見渡しました。……やっぱり今年も問題が多い。早く解かないと、と思いながら熱力学から手をつけました。
熱の調子はかなり良かったです。1問だけ分からない所がありましたが、今までの経験からそれっぽい答えを出して、35分で終了。
次は材力。最初の問題で、定義を思い出したり、答えに使っていい文字を確認したりするのに、かなり時間を取られました。3番は、見た瞬間に「うわ、ダルい」となる、いつもの熱応力と伸びの典型問題。ヤング率と断面積が部材ごとに違うので、文字の読み違いや単位に気をつけながら計算を進めます。
その途中で気づきました。もう1時間半が経っている。この先さらに重くなりそうだったので、思い切って飛ばしました。振り返ると、これがこの日一番の好判断でした。計算が重すぎる問題は、解き切っても合っているかは運ゲーです。飛ばしましょう。
1時間40分を過ぎたあたりで機械力学へ。この時点で、なんとなく調子がいいのを感じていました。1問目は(あとで自己採点したら途中で読み違えていたんですが)その場では特に詰まらずクリア。
このあたりで頭がオーバーヒートしているのを感じて、手を挙げてトイレへ。冷たい水を飲んだ瞬間、頭がすーっとクリアになっていくのが分かりました。3時間のうち一度は、トイレか水の休憩を取った方がいいです。
戻って次の問題に入ると、いきなり(1)でつまずきました。まずい。でも典型問題なのは分かっていたので、自分のやり方でゴリ押しして、合ってるか不安なまま先に進みました。試験後に見直したらすごく簡単な問題で、本番の自分がどれだけ焦っていたかを思い知りました。
途中で文字を置き換えたら、最後の答えがめちゃくちゃキレイな、見覚えのある形になったんです。気持ちよすぎて、思わずにやにや。隣の人に気づかれていたら、絶対「こいつキモいな」と思われてたはずです。
残り35分で流体力学。昔の過去問では流体が一番難しかったので、まずいと思いながら最速で進めていくと……あれ? めっちゃ簡単だぞ。
1問目は10分で終わって、余裕を持って2問目へ。典型問題ではなかったけど、誘導に乗れば難しくない。そう思いながら進めていたら、勉強した解法パターンがそのまま出てきて、すんなり乗れました。最後の問題だけは面倒そうだったので飛ばして、残り10分で一通り終了。
飛ばした問題にそれっぽい答えを書き込みながら、抜け漏れと、使っていい文字を使っているかをチェックしました。そしたら凡ミスが3つも出てきたんです。最後の見直しの時間は、絶対に作ってください。普段から凡ミスが多い人は特に。
ミスを直し終わったところで、ちょうど終了の合図。怪しい問題はあったけど、合格ラインと言われる65%は切っていないはず。やりきった、という感覚でした。解答用紙が回収されて、解散の合図。一気に解放感が押し寄せてきました。
ただ、試験後にひとつショックなことがありました。同じ大学の、名前も知らない子がひどく動揺していたので話を聞いたら、問題用紙の最初のページに「解答用紙は1教科1枚」と書いてあったのに、全部詰めて書いてしまったそうです。問題用紙の最初のページの注意事項は、必ず読んでください。それで1年間の努力が水の泡なんて、笑えないので。
そのあと一緒に受けた友達と合流して、サイゼで自己採点。今はAIのおかげですぐ採点できるんだからすごい時代です。結果は76%。焦っていたのか日本語の読み違えがかなりありましたが、たぶん受かっただろうと一安心しました。友達もみんな合格ラインは超えていそうで、サイゼでみんなで喜びを噛みしめました。
7. 口頭試験について
口頭試験の内容は口外しないように言われているので、詳しいことは書けません。ごめんなさい。
準備としては、志望研究室の論文を読んで、「院で何をやりたいのか」を自分の言葉で話せるようにしておけば大丈夫です。「向上させる」「最適化する」みたいなふわっとした言葉は避けて、具体例を1つ添える。それだけで伝わり方がまったく変わります。控室ではスマホの電源を切るように言われるので、見返したい資料は紙で持っていきましょう。
そして結局のところ、口頭で落ちるかどうかは筆記の点数と研究室の空き次第です。一番の口頭対策は、筆記で余裕を持って点を取ることです。
8. 最後に:これから外部を受けるあなたへ
春のうちは、周りも「4年なのに勉強してて偉いね」と言ってくれます。でも、夏になると話が変わります。
自分の大学の院試は7月で終わって、同じ大学の友達はそこから夏休みモード。旅行に行ったり、飲み会をしたり。文系の友達はほとんど就活を終えていて、「誰々がどこの大企業に受かった」みたいな話がどんどん耳に入ってくる。その中で、まだ進路が決まっていない自分だけが机に向かっている。正直、かなりきついです。「もう今の研究室でいいかな」と思う瞬間も、たぶん来ます。
僕がそこで折れなかったのは、同じ研究室に外部を受ける友達がいたからです。1人だったら、途中で絶対に心が折れていました。だから、一緒に勉強して、相談できる仲間を作ってください。メンタルは、間違いなく点数に直結します。
もうひとつ。「なんで自分は外部を受けるのか」を、自分の言葉で持っておいてください。やりたい研究があるでも、環境を変えたいでも、学歴でもいい。理由がはっきりしていると、迷ったときや人に何か言われたときにブレません。
ここまで読んでくれたということは、あなたも少しは外部の院に行きたいと思っているはずです。だったら、最後までやりきって、受けて、結果を受け止めてください。それが一番後悔しない道だと、僕は思います。
最後に、外部院試に受かるために大事なことを4つだけ。
- 過去問は、めっちゃやる。
- ドパガキを卒業する。SNSは断つ。
- 一緒に勉強する友達を作る。
- 研究と両立できる環境を選ぶ。
長い記事を読んでくれて、ありがとうございました。いつか科学大で会えたら嬉しいです。